| フィンランドの首都ヘルシンキから飛行機で1時間、クオピオ市にエリーおばあちゃんは暮らしています。77歳で、一人暮らしのアパートには、近くに住む娘家族が時々訪ねてきます。日本から見れば涼しい夏でもフィンランドの人たちには暑い夏。おばあちゃんも夏は避暑をかねて湖畔のコテージ住まい、静かで美しい湖を見ながら心穏やかに過ごし、週末や夏休みには子供達や孫達が訪ねてきます。 そんなおばあちゃんのコテージにこの夏泊めてもらいました。ちょうど私の母と同い年だったので、母が大好きなマッサージをしてあげると、至福の顔つきでこんなお客さんなら何度でも来て、と言ってくれました。やさしい笑顔と、二の腕のたぷたぷ感からふるさと京都に暮らす母を思い出しました。
おばあちゃんは結構高齢なのに子供達と一緒に暮らそうとは思わないようです。それどころか、朝ごはんにゆっくりおきてきたエリーおばあちゃんは、一人で、ゆっくりと自分の朝食の用意を始めました。まずお皿をテーブルに運び、次にマグカップを運び、それからパンを取りに行って。若い人がすれば一回ですむ作業を何回にも分けて自分で。それを誰も手伝おうとはしません。娘夫婦や孫にとっておばあちゃんはとっても大事な存在。でも、自分の朝ごはんの準備は自分の仕事。そんな何気ない家族のシーンに、お年寄りは大切に、若い人が動きなさい、と教わってきた私はじっと座っているよりお手伝いしたくなりました。大事な人に対する対処の仕方ひとつにも、日本とフィンランドの風習の違いを見た気がしました。
坂井愛子 |