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健康福祉

#05 シニアビジネス成功のヒントは「心と体のギャップ」にあり!ハルメクに学ぶ、シニア女性の心をつかむポイント【オンラインセミナー開催レポート】

超高齢社会に突入した日本で、急速に拡大し続けているのがシニア市場です。
2022年の内閣府の高齢社会白書によると、総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は28.9%にものぼり、2065年には約2.6人に1人が65歳以上になると推計されています。

今後ますます拡大するシニア市場は、企業にとっては大きなビジネスチャンスです。
しかし、シニアに対する先入観や思い込みによって、ビジネス展開に苦戦している企業も多くあります。
たとえば、「シニアはデジタルに弱い」というような思い込みはありませんか?

シニアビジネスを成功させるためには、多様化するシニアの生き方や暮らしの変化を知ることが大切です。そこで、当センターでは9月8日に、オンラインセミナー「女性誌部数No.1『ハルメク』に学ぶ!シニア女性の心をつかむビジネスのヒント」を開催。講師には、株式会社ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所 所長 梅津順江氏をお迎えしました。

女性誌No.1(日本ABC協会発行社レポート)の「ハルメク」の成功事例とともに、企業の視点でシニア世代の行動特性や価値観の変化、今後注目のトレンドなどについてお話しいただきました。

今回のウェルマガでは、講演内容の一部をご紹介します。
ビジネスアイディアの着眼点やヒントをつかむ機会として、ぜひご活用ください。

講師紹介

株式会社ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所
所長 梅津 順江 氏

大学卒業後、ジュジュ化粧品(現・小林製薬)に入社。ジャパン・マーケティング・エージェンシーを経て、2016年3月からハルメクに入社。 年間1,000人近くのシニアを対象にインタビューや取材、ワークショップを行い、誌面づくり・商品開発・広告制作に役立てたり、半歩先の未来を予見したりしている。著書に「この一冊ですべてわかる心理マーケティングの基本」(日本実業出版社)などがある。日経MJ「ときめく!シニア女性マーケ」を連載中。

「人生100年時代」をどう生きる?

近年、「人生 100 年時代」という言葉をよく耳にするようになりました。
長寿化によって時代や時間の尺度が変化する一方で、人々の価値観は変化に追いついていないと梅津氏は指摘します。

「ハルメクの読者と話す中で『長生きしちゃう』という声をよく聞きます。人生50年、70年と思って生きてきたのに、還暦を迎えてもまだまだ先は長い。例えるならもう一度生まれてから大学を卒業するくらいの時間があるんですね。人生が延長されたような感覚に、戸惑いや不安が出てくるのは当然だと思います。」(梅津氏)

2021年の日本人の平均寿命は男性が 81.47歳、女性が 87.57 歳。
国連の推計によると、2007年に日本で生まれた子供の半分は
107歳以上まで生きることが予測されており、日本は世界一の長寿大国となっている。

シニアにとっては、人生100年時代にふさわしい生き方や人間性について考える時間が増えました。
最近では90 代でも申し込める医療保険や、死亡保険が登場しています。ビジネスにおいても、価値観の転換が求められていると言えます。

「シニア」という自覚はない

生きかた上手研究所の「年齢に関する自己認識調査」によると、実年齢より自分が自覚している“知覚年齢”は6~11歳、他者に何歳に見られていると思うかという“他者知覚年齢”は3~10歳若いことがわかりました。超高齢社会で年齢区分の定義が変化し、シニアという自覚がなくなっているのだと梅津氏は言います。

さらに若いという自覚があるため、葬儀やお墓の準備など、いわゆる“終活”に関する消費を「まだ早い」と先延ばしにする傾向があるのだそうです。
「終活」に関する調査では、79%が「終活すべき」と回答したものの、実際に行っているのはわずか38.3%と約半分の結果に。意識と行動との間にギャップがあることが明らかになりました。

「気持ちは若いのでこれからのことを『まだ早い』と先延ばしにする傾向がありますが、一方で体は追いついていないんですね。平均寿命と健康寿命の差を見ると、2019年で男性は8.73年、女性は12.07年も“不健康な期間”があります。平均寿命が延びても、健康寿命は延びていないのです。」(梅津氏)

このような「心と体のギャップ」こそが、企業が一番注目すべきポイントだと梅津氏は言います。

「心はすごく若いけど体がついていかないという、矛盾した悩みを持っているシニアは多いです。ギャップをどう埋めたらいいのか? と考えることが、商品開発や雑誌の企画、顧客とのコミュニケーションのヒントにつながるはずです。」(梅津氏)

ハルメクの「終活」に関する特集。“元気なうちに始めよう”や“がんばらない終活”など、心と体のギャップを埋めるようなキーワードを使い、先延ばしにしがちな終活を今ゴト化する工夫をしている。

「エイジテック」でシニア市場が活気づく!?

梅津氏は今後のシニアの幸せな暮らしにつながるカギとして、「エイジテック(Age Tech)」という言葉を取り上げました。

エイジテック(Age Tech)とは、「高齢者(Age)」と「テクノロジー(Tech)」をかけ合わせた言葉で、高齢者の生活や健康をサポートするテクノロジーのこと。世界中で加速する高齢化に伴い、注目が高まっている。

「デジタルの発展によって、今後シニアと企業の技術・商品をつなぐ領域がますます活気づくのではないかと注目しています。いまシニアを取り巻く環境も、急速にデジタルシフト(デジタルを使って、暮らしや社会を便利にしていくこと)が起こっています。シニア向けの仕事のマッチングサービスや、ITを使った新しい終活など、あらゆる分野のサービスがどんどん登場しています。」(梅津氏)

梅津氏は、エイジテックの商品には3つの共通点があると分析しています。

  1. 「高齢者向けっぽくない」 … 高齢者向けであることを感じさせない設計
  2. 「わかりやすい」 … 直感的に使えるもの
  3. 「自分テイスト」 … 自分仕様にカスタマイズができるもの

これらの共通点は、今後エイジテックの市場に参入していくうえで必要不可欠な要素であることを強調しました。

梅津氏は最後に「シニアこそデジタルに頼るべきだし、味方につけることで、社会で活躍するシニアが増えていくのではないでしょうか。今日の話が皆さんのビジネスのヒントにつながれば嬉しいです。一緒に幸せな長寿社会を実現していきましょう。」と語り、セミナーを締めくくりました。

おわりに

今回ご紹介した内容は講演のほんの一部でしたが、当日は調査データから見たシニアの傾向や、ハルメクでの特集事例をたくさんご紹介いただきました。

年間1,000人近くのシニアと接する梅津氏の着眼点と分析はたいへんユニークで、多くの企業にとって新たな視点を学ぶ機会になったのではないでしょうか。

セミナー参加者からは、「シニア女性をターゲットにしたサービスや、世代特有のニーズについて理解が深まった」「読者の声についての話が多くあり、それらが想像していた内容と違ったことから、その場そのときの声を聞く大切さを感じた」といった声をいただきました。

当センターでは、健康福祉やウェルビーイングをテーマとしたセミナーを今後も開催していきますので、ぜひご参加ください。
また、健康福祉・ウェルビーイング分野の事業展開に関しての無料相談も受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

オンラインイベント SAUNAとWell-being ~日本とフィンランドのサウナをめぐって~

令和4年11月18日(金)18:00~19:30 / Zoomウェビナー

世界幸福度ランキング5年連続1位のフィンランド。独自の慣習や理念が浸透し心地の良い暮らしを送ることができる環境は、コロナ禍の今、働き方や暮らし方を見つめ直す機会が増える中でますます注目を集めています。フィンランド人の暮らしに欠かせないのが、ユネスコ無形文化遺産にも登録されているサウナ。そこで今回は、フィンランド在住のサウナ文化研究家 こばやしあやな氏を講師にお迎えし、サウナとウェルビーイングについてお話いただきます。

ぜひこの機会に、サウナを通じたフィンランドのウェルビーイングなライフスタイルの魅力に触れてみませんか?多くの皆様のご参加をお待ちしております。